「3年目の通夜」  平成18年11月

私は平成2年の10月に2つの職種の転職を経て研修生としてこの保険業界に入り、2年後の平成4年の10月に開業をした。開業して4ヶ月目の翌年平成5年の1月に保険会社主催の経営者向けのセミナーが1泊2日で伊豆のハートランドと言う施設で開催され参加した。

心理学的なセミナーでテーマの中に「3年目の通夜」と「私の夢」となっていた。今ではお通夜は翌日の葬儀に出れない人がお通夜に香典を持って出ているが、昔はお通夜は親族と余程の親しい人だったと思う。そこでセミナーでは、「目を閉じて今自分のお通夜があったと思って、誰と誰、何人の人が来てくれるか書き上げなさい。」と言われ困りました。
葬式なら義理で数名の名前は書けるがお通夜となると、当時数名の名前しか書けずとても10名はいなかった。
講師は「だったら3年後にどうなっていますか?」、つまり3年間でお通夜に来てくれる親しい人間関係を作れと理解をしました。

そして次のテーマは「私の夢」
仕事面について
1、あなたはどのぐらいの収保(売上げ)、何名の従業員の社長になりたいですか? 
2、あなたは将来どのようなオフィスを構えたいですか?

個人面について
1、あなたは将来どんな家に住みたいですか?
2、あなたはどのくらいの年収が欲しいです?
3、あなたは貯金をどのくらい持っていたいですか?
4、あなたはどんな物が欲しいですか? 具体的に書き上げて下さい。

社会面について
1、あなたは将来どんな人間だと言われたいですか?
2、あなたは人に誇れるものとして何が欲しいです?
3、あなたはどのような友人が、何人くらい欲しいですか?
4、あなたは仕事以外に何かやりたいこと、なりたいものはありませんか?

家庭面について
1、子供はどのような人間になり、あなたにどのように接して欲しいです?
2、奥さんにはどのような人間になり、あなたにどのように接して欲しいですか?
3、ご両親はどのようになり、あなたにどのように接して欲しいですか?
4、あなたは家庭を通じて何が欲しいですか? 家庭になにがして欲しいですか?

趣味、スポーツ、レジャー面について
1、あなたはどんな趣味を持ちたいですか?
2、あなたはいつ、誰と、どのようなレジャーをしたいのですか?

時間の使い方について
1、あなたは1年のうちまとまった休暇をいつ頃、何日位、何回とれるのが理想ですか?
2、あなたは1週間をどのように過ごすのが理想ですか?
3、あなたは休日をどのように過ごしたいですか?
4、あなたは1日の時間をどのように使いたいですか?

そしてこのセミナーのクロージングは「もしあなたが余命3年と言われたらどうしますか?」と考えさせられるところで答えもなく終わりました。
このセミナーには我々代理店が50名以上、そして保険会社からその担当者社員がマンツーマンで参加しました。その後誰からもこのセミナーの話題はなかったのですが、私は約13年間このセミナーのことを忘れることなく毎年3年後の展望を頭に置きながら過ごして来ました。当時の資料は今も大切に保管してあるが、今思えばかなりの消極的な考えで事務所を持つことや従業員のことも記載されていなかった。しかしあの当時に予想もしなかった業績を残せたり、事務所を新設出来たり今年からの愚息の後継者問題なりがすべてあのセミナーのお陰(講師の先生の説得力あるご指導)でそのことを忘れずに常に受け止めて意識したことだと思っている。

このセミナーの本当の目的、答えはわからないが、おそらく何事にも計画性と具体的な目的を持って悔いのない経営、人生を送るよう受け止めている。
仕事でも個人的でも常に欲しい目標、具体的に物を上げて例えばその欲しい物がいくらでその物をいつまでに、いくら稼がないと買えない。とはっきりさせることの重要性を教えられたように自分ながら理解してもいる。
合わせて今現在自分の両親は父が88歳、母が83歳と健在ではいるが、仕事柄年間約20件の葬儀に出る機会も多く、その度にあのセミナーを思い出しながら両親の死を思い浮かべいつも喪主の方の立場になったり、自分の葬儀を思い浮かべている。
保険の仕事柄もあるが当時からいつケガや病気で死ぬのではと危機感を持ちながら悔いのない人生を送っている私です。


水田のひとり言トップページ    ホーム