私は小さな時から、嘘をつかないこと、お礼を言うこと、この二つを両親から厳しく言われ育てられた。幼い時、お正月に親戚の人達からお年玉をもらい、親に報告しなかったことを『親の立場できちんとお礼を言わなくては』と、酷く叱られた事を覚えている。結婚した頃、いろんな方から『奥さんにと』何か物をいただいた時、私は家内にもいただいた方にちゃんとお礼を言うように言った。そんな時家内は、『あなたがお礼を言って物をもらって来たんだから、何でまた私が言わなくてはいけないの』聞いた。
『きちんとお礼を言えば、相手の人も上げて良かったと思い、またあげようと言う気になるから』と、私は教えた。その後いつの間にか家内もその礼儀が自然に身に付いた。やがて息子が生まれ育ち、私が親から教えられた礼儀を、意味をよく説明しながら息子にも教え続けた。彼もそのルールは守ってくれている。友達のところでご飯をご馳走になったとか、何かもらった時などは、ちゃんと報告してくれる。息子が小さい頃、家内はよくよその子供達の写真を撮っていた。その写真を子供達に配っていた。でも、ありがとうが言えない子供や親が多く、だんだん写真を撮らなくなってしまった。
最近、息子の野球部の監督さんと話をする。その中で躾(しつけ)の話題が出て、『近頃の子供はありがとうを言うどころか、ご飯を食べる前のいただきますもご馳走さまも言えなくなってきている、何か躾は学校で教えるべきことで、親の責任はないと思っている親御さんが多い傾向だ』と嘆いていた。確かに、躾は親の責任だと思う。子供を持つ親が御礼の一つが言えないのが現状であり、実態に思える。物を送ったり、手紙を出したりしても届いたとの返事もない。そんな人達を無神経で非常識な人と思っていた。しかし最近では、“ありがとう”が言えない人は、心に余裕のない人なんだと思い、腹も立たなくなって来た今日この頃です。
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